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実務ガイド

IFC で数量を拾う(QTO)— BaseQuantities・面積体積・積算との違い

BIM/IFC からの数量拾い(QTO)の基本を解説。IFC が数量をどう持つか(IfcElementQuantity・BaseQuantities)、モデル由来の数量と積算の違い、net/gross や開口控除といった落とし穴、実務での確認方法をまとめます。

約 9 分で読めます

図面を広げてスケールで測る代わりに、BIM モデルから直接「壁の面積」「コンクリートの体積」「建具の数」を取り出す——これが **QTO(Quantity Take-off、数量拾い)**です。IFC はこの数量を運べます。ただ、数量が入っていなかったり、net と gross を取り違えたりと、つまずきどころも決まっています。基本を押さえれば、モデルを積算の入口としてうまく使えます。

先に結論
  • IFC は要素ごとに長さ・面積・体積・数・重量などの数量を持てる(IfcElementQuantity / 標準の BaseQuantities)。
  • モデル由来の数量は積算の入力であって、積算そのもの(単価・歩掛・ロス)ではない。
  • 数量が空/おかしいときは、書き出しで含めていないか、net/gross・開口控除の定義違いを疑う。

QTO とは(モデルから数量を拾う)

QTO は、設計・施工に必要な数量を数え上げる作業です。従来は図面から手作業で拾っていましたが、BIM では要素そのものが寸法や体積の情報を持つため、モデルから数量を集計できます。壁が 100 枚あれば、その総面積・総体積をモデルが教えてくれる、というわけです。

手拾いに比べた利点は明確です。変更に追従する(壁を伸ばせば数量も変わる)、取りこぼしにくい(要素単位で漏れなく数える)、根拠が要素に紐づく(どの要素の数量かが辿れる)。一方で、後述するように「モデルの数量=そのまま積算」ではない点に注意が要ります。

IFC はどう数量を持つか

IFC では、要素に IfcElementQuantity(数量の集まり)を関連付け、その中に個々の数量を入れます。数量には型があります。

📏 長さ

壁の長さ、梁の長さなど(IfcQuantityLength)。

🟦 面積

壁の側面積、床面積など(IfcQuantityArea)。net/gross の区別あり。

🧊 体積

コンクリート体積など(IfcQuantityVolume)。

🔢 数

建具や什器の個数(IfcQuantityCount)。

⚖️ 重量

鉄骨の重量など(IfcQuantityWeight)。

さらに IFC には、要素種別ごとの標準の数量セットが定義されています。壁なら Qto_WallBaseQuantities(長さ・幅・高さ・側面積・体積など)、スラブなら Qto_SlabBaseQuantities、という具合です(IFC2x3 では「BaseQuantities」と総称)。この標準セットに沿って書き出されていれば、受け側は「どの壁の・どの数量か」を機械的に集計できます。

壁要素(IfcWall) Qto_WallBaseQuantities Length(長さ)= 4000 mm NetSideArea(側面積・純)= 9.6 m² GrossSideArea(側面積・粗)= 10.8 m² NetVolume(体積・純)= 1.44 m³
要素に紐づく標準数量セット。net(純=開口控除後)と gross(粗=控除前)が分かれているのがポイント

数量 ≠ 積算

ここが最重要です。モデルから拾えるのはあくまで「数量」(4000mm、9.6m² など)であって、**積算(コスト)**ではありません。積算は数量に単価・歩掛・ロス率・施工手間などを掛けて初めて出るもので、モデルだけでは決まりません。

モデルが出せる

数量(QTO)

  • 壁 120 枚 / 総側面積 1,150 m²
  • コンクリート体積 340 m³
  • ドア 45 / 窓 62
  • 要素に根拠が紐づく
人が決める

積算(コスト)

  • 単価・歩掛・ロス率
  • 施工手間・仮設・経費
  • 地域・時期・数量スケール
  • 拾い基準(控除ルール)の判断

つまり QTO は積算の強力な入力です。数量を正確・高速に用意できるほど、積算の精度と速さは上がります。ただし「モデルの数量をそのまま金額にする」わけではない、という前提を共有しておくと事故が減ります。

よくある落とし穴

gross(粗) 壁全面を算入 net(純) 開口(窓・ドア)を控除
同じ壁でも、開口を控除する net(純)と控除しない gross(粗)で面積は変わる。どちらの数量を使うかを揃えないと合わない

実務での確認と使い方

まずビューアや属性表示で、要素をクリックして数量が入っているかを確認します。標準の数量セット(Qto_WallBaseQuantities など)が見えれば、集計に使える状態です。数量が空なら、書き出し側で含めてもらうところから。

集計の際は、拾い基準(net/gross・控除ルール)を先に決めて統一するのが肝心です。基準がぶれると、同じモデルから違う数量が出て突き合わせられません。分類(プロパティセットと分類)で要素を種別・部位ごとに束ねておくと、集計の粒度をそろえやすくなります。

まとめ

数量拾いは、BIM の「変更に追従する」強みが最も分かりやすく効く領域です。数量が要素に紐づく前提を活かせば、拾いの手間と取りこぼしを大きく減らせます。属性・分類の基礎はプロパティセットと分類、全体像はIFC とはにまとめています。

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