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基礎知識

IFC のプロパティセット(Pset)と分類体系 — 属性・Uniclass・OmniClass の基本

IFC の属性(プロパティセット/Pset)と分類体系の基本を解説。標準 Pset とカスタム Pset の違い、IfcClassification による分類の付け方、Uniclass・OmniClass などの分類体系、属性が失われたり散らかったりする理由と対処をまとめます。

約 9 分で読めます

BIM の要素は、ただの形ではありません。壁なら耐火性能・外部/内部・耐力壁かどうか、ドアなら防火性能・寸法・型番——こうした**情報(属性)を持っています。IFC でこの属性を束ねる仕組みがプロパティセット(Pset)で、要素が「何か」を体系立てて表すのが分類(Classification)**です。この 2 つは、モデルを「見る」から「使う」(検索・集計・検証)へ進める土台になります。

先に結論
  • Pset(プロパティセット)= 要素に付く名前付きの属性グループ(例: Pset_WallCommon の耐火性能・外部/内部)。
  • 標準 Pset(IFC 定義)とカスタム/ベンダー Psetがあり、集計・検証には標準を優先する。
  • 分類は要素に「これは何か」の符号(Uniclass・OmniClass 等)を付け、種別横断の集計・照合を可能にする。

プロパティセット(Pset)とは

Pset は、関連する属性をひとまとめにした名前付きのグループです。IFC では要素に複数の Pset を関連付けられ、各 Pset の中に個々のプロパティ(名前と値の組)が入ります。たとえば壁には Pset_WallCommon が付き、その中に「耐火性能」「外部か内部か」「耐力壁か」といった値が並びます。

壁(IfcWall) Pset_WallCommon (標準) FireRating = 60 min ・ IsExternal = true LoadBearing = false ・ AcousticRating = Rw45 Pset_ACME_Internal (ベンダー独自) ACME_Code = W-0421 ・ ACME_Layer = A-WALL …内部管理用の大量の属性…
要素には標準 Pset とベンダー独自 Pset の両方が付きうる。集計・検証には標準側を使うのが基本

標準 Pset とカスタム Pset

Pset には大きく 2 種類あります。

推奨

標準 Pset(IFC 定義)

  • Pset_WallCommon / Pset_DoorCommon など
  • 名前と意味が仕様で決まっている
  • どのツールでも同じ解釈で読める
  • 集計・検証・受け渡しの共通言語
扱い注意

カスタム / ベンダー Pset

  • ツールや組織が独自に定義
  • 内部管理用の属性が大量に付くことも
  • 受け側では意味が分からないことがある
  • 標準を埋もれさせる原因になりがち

実際のモデルでは、ベンダー独自の内部属性が大量に混ざることがよくあります。数の上では独自属性が大半で、肝心の標準 Pset(耐火性能や数量など)が埋もれて見えづらくなる、という状況です。集計や検証をするなら、標準 Pset を優先して読むのが定石です。

分類(Classification)— 要素に「これは何か」の符号を付ける

Pset が「その要素の値」を表すのに対し、分類は「その要素が何に当たるか」を、共通の符号体系で表します。IFC では IfcClassification(体系)と IfcClassificationReference(個々の符号)で、要素に分類コードを関連付けます。

分類を付けると、種別をまたいだ集計・照合ができます。たとえば「外壁に相当するもの」を、モデルの要素型(壁・カーテンウォール等)に関係なく分類コードで一括して拾う、といった使い方です。QTO やモデルチェックの精度は、分類が整っているほど上がります。

外壁の要素 壁 / カーテンウォール… 分類コード EF_25_10 … (例: Uniclass の要素分類) 種別横断で 集計・照合
分類コードを介して、要素型に依存せず「外壁に相当するもの」をまとめて扱える

主な分類体系

分類体系はいくつもあり、地域や目的で使い分けられます。代表的なものだけ挙げます(事実関係は各体系の公式定義に従ってください)。

Uniclass

英国発の統一分類。要素・システム・製品などのテーブルに分かれ、幅広い工種をカバー。

OmniClass

北米発。複数のテーブル(要素・成果物・製品など)で構成される包括的な体系。

Uniformat

建物を「部位(エレメント)」で分類。概算・初期段階の集計と相性が良い。

MasterFormat

仕様書(工事の成果)の分類として北米で広く使われる。

どれを使うかはプロジェクトや発注者の要件次第です。大切なのは、プロジェクトで 1 つ(または明確な対応関係)に統一すること。混在すると、せっかくの分類が照合に使えなくなります。

Pset・分類が失われる/散らかる理由

書き出し全般のつまずきはIFC エクスポートのコツ、属性が空になる症状はIFC のよくあるエラーと対処にまとめています。

実務での使い方

まずはビューアで要素をクリックし、どんな Pset・分類が付いているかを確認します。標準 Pset が見え、分類コードが付いていれば、検索・集計・モデルチェックに使える状態です。数量拾い(QTO)も、分類で部位・種別に束ねると粒度をそろえやすくなります。

逆に、属性や分類を「後から一括で足す」のは手間もリスクも大きいので、モデリングの段階で標準 Pset と分類を意識しておくのが、結局いちばん効きます。

まとめ

形状だけの BIM は「見る」までですが、属性と分類が整った BIM は「使える」データになります。全体像はIFC とは、用語はBIM・IFC 用語集にまとめています。

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