「IFC で渡したのに、開いたら属性が空だった」——これは IFC のやり取りで最も多いトラブルの一つです。そして原因の多くは IFC そのものではなく、書き出し(エクスポート)の設定にあります。この記事では、IFC エクスポートで失敗しないためのコツを整理します。
- 属性落ち・要素欠けの多くは エクスポート設定が原因
- まず IFC バージョンを相手と合わせる(2x3 / 4 / 4.3)
- 含めるプロパティ・対象範囲・座標系を意識して書き出す
- 書き出したら自分で開いて検収する習慣が最大の防御
なぜ属性が落ちるのか
各 BIM ソフトは、独自の内部データを IFC という共通形式に「翻訳」して書き出します。この翻訳のとき、どの情報を・どのIFCバージョンで・どう対応づけて出すかを設定で決めます。設定が不適切だと、社内では見えていた属性が IFC に乗らず、受け手の画面では空になります。
つまり「IFC が情報を捨てた」のではなく、「書き出し設定がその情報を含めなかった」のです。
押さえるべき設定ポイント
🏷️ バージョン
IFC2x3 / 4 / 4.3 のどれで出すか。相手の対応に合わせる。迷えば 2x3 が無難。
📋 プロパティ
出力するプロパティセット(Pset)を選ぶ。必要な属性が対象に入っているか確認。
🧱 対象範囲
どの要素・どのビュー/階を含めるか。意図せず一部だけ書き出していないか。
📍 座標系
基準点・座標。原点から極端に離れると受け手で「何も見えない」事故に。
🗂️ 分類
分類コード(Uniclass 等)を含めるか。集計・連携の前提になることがある。
📐 形状表現
BREP か押し出しかなど。ファイルサイズと互換性のバランス。
失敗しないための手順
相手に要件を聞く
IFC バージョン・必要な属性・座標基準を事前に確認。「とりあえず IFC」は事故のもと。
エクスポート設定を合わせる
バージョン・Pset・対象範囲を要件どおりに設定して書き出す。
自分で開いて検収
書き出した IFC をビューアで開き、属性・要素・位置を自分の目で確認。
渡す
バージョンと含めた内容を一言添えて共有。受け手の検収も促す。
ラウンドトリップの限界も知っておく
IFC で書き出し、別ソフトで読み込み、また書き戻す——この往復(ラウンドトリップ)は完全ではありません。独自機能やパラメトリックな編集性は IFC を経由すると失われます。「IFC で往復すれば元通り」と期待しないことも、事故を避けるコツです。
まとめ
- IFC の属性落ち・要素欠けの多くは、IFC ではなくエクスポート設定が原因。
- まずバージョンを相手と合わせ、プロパティ・対象範囲・座標を意識する。
- 最大の防御は書き出したら自分で開いて検収すること。
- ラウンドトリップには限界がある、と前提を共有しておく。
IFC は「出して終わり」ではなく「出して、確かめて、渡す」。このひと手間が、受け渡しの信頼を大きく変えます。