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基礎知識

openBIM とは? ベンダーに縛られずに BIM を共有する考え方と標準

openBIM(オープン BIM)とは何かを解説。特定ソフトに依存しないオープンな標準で BIM をやり取りする考え方です。支える標準(IFC・BCF・IDS・bSDD)、closedBIM との違い、メリット、実務での流れをまとめます。

約 9 分で読めます

BIM を複数の会社でやり取りするとき、「相手と同じ高価なソフトを持っていないと開けない」では困ります。特定のベンダーに縛られず、オープンな標準で BIM を共有・連携する考え方が openBIM(オープン BIM) です。buildingSMART が推進する枠組みで、支えているのは IFC をはじめとする公開標準の一群です。

先に結論
  • openBIM = 特定ソフトに依存しないオープンな標準で BIM をやり取りする考え方。
  • 支える標準: IFC(モデル)・BCF(指摘)・IDS(情報要求)・bSDD(用語辞書)+ 運用としての CDE
  • 反対語は closedBIM(1 社のネイティブ形式に閉じる)。openBIM はロックイン回避・長期保全・相互運用が価値。
  • 「作図はネイティブ、受け渡しはオープン」の使い分けが現実的。

openBIM とは — closedBIM との違い

同じ 1 社のソフトだけで完結し、ネイティブ形式のまま受け渡す進め方を closedBIM と呼びます。速くて機能も密ですが、相手が同じソフト(同じバージョン)を持っていないと開けず、データの寿命もそのベンダー次第になります。openBIM は、そこを公開された中立フォーマットでつなぎます。

オープン

openBIM

  • 公開標準(IFC ほか)でやり取り
  • ソフト・ベンダーを選ばない
  • 長期アクセス・相互運用を確保
  • 調達・連携が特定製品に縛られない
閉じている

closedBIM

  • 1 社のネイティブ形式で受け渡し
  • 同じソフト・版が必須
  • 作図は速く機能も密
  • データ寿命がベンダー依存

大切なのは、どちらか一方が「正義」ではないことです。作図(オーサリング)は各社の得意なネイティブツールで行い、他社との受け渡し・確認・調整はオープン標準で行う——この使い分けが実務では最も合理的です。

openBIM を支える標準たち

openBIM は 1 つの規格ではなく、役割の違う標準の組み合わせで成り立ちます。

📦 IFC(モデル)

建物の要素・形状・属性を表す中立のデータモデル(ISO 16739)。openBIM の中心。IFC とは

💬 BCF(指摘)

「どこが・何が問題か」を視点付きで交換する仕組み。モデル本体を送らず指摘だけ往復できる。BCF とは

✅ IDS(情報要求)

「どんな情報が必要か」を機械可読で指定し、自動照合する。IDS とは

📖 bSDD(用語辞書)

buildingSMART Data Dictionary。分類・属性の共通辞書で、言葉の揺れをそろえる基盤。

CDE 共有の場 IFC モデル(要素・形状・属性) BCF 指摘(視点付き) IDS(情報要求) bSDD(用語辞書)
役割の違う標準を組み合わせて成り立つ。モデルは IFC、指摘は BCF、要求は IDS、用語は bSDD、共有の運用は CDE

なぜ openBIM か

🔓 ロックイン回避

特定ソフト・ベンダーに縛られない。ツールを乗り換えても資産が生き続ける。

🗄️ 長期保全

公開仕様なので、10 年後・20 年後もデータを読み解ける。維持管理・改修で効く。

🤝 相互運用

意匠・構造・設備が別ソフトでも、同じ土俵で重ね・確認・調整できる。

⚖️ 公平な調達

成果物をオープン形式で求めれば、特定製品を持つ会社だけが有利、を避けられる。

公共発注で「IFC で納品」が要件化されつつあるのも、この長期保全・公平性が理由です。IFC と RVT の違い でも触れたとおり、ネイティブ形式は作業用・IFC は受け渡し用と捉えると、openBIM は既存のワークフローに無理なく乗ります。

実務での openBIM の流れ

openBIM は特別な儀式ではなく、日々の受け渡し・確認を open 標準に寄せるだけです。ツールに依存しない典型的な流れは次のとおり。

受け取る

各社が IFC で書き出し、[ビューア](/ja/blog/choosing-ifc-viewer/)や CDE で受け取る。同じ原点・命名で重なる前提を BEP で先に合意。

確認・検証する

属性や要求の充足を[モデルチェック](/ja/blog/what-is-model-checking/)で(必要なら IDS で自動)確認する。

指摘を交換する

見つかった問題を BCF で往復。モデル全体を送らず、視点付きの指摘だけをやり取りする。

共有・記録する

最新版と承認状態を CDE で一元管理し、経緯を残す。

💡
コツ: いきなり全部をオープン化しなくてよいです。まず「受け渡しは IFC、指摘は BCF」だけでも、相手のソフトに依存しない連携が成立します。Bimly のようなブラウザだけで動くツールなら、受け手はインストールも不要です。

まとめ

openBIM は「一つの製品」ではなく「縛られない進め方」です。まずは受け渡しを IFC、指摘を BCF にするところから。用語の全体像は BIM・IFC 用語集、そもそもの BIM は BIM とは にまとめています。

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