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基礎知識

IDS(情報要求仕様)とは — BIM に必要な情報を機械可読で指定・検証する

IDS(Information Delivery Specification)とは何かを解説。BIM モデルに「どんな情報が必要か」を機械可読で指定し、自動でチェックする buildingSMART の標準です。IDS の構成(適用対象と要求)、Pset・分類・モデルチェックとの関係、BEP との違いをまとめます。

約 8 分で読めます

「納品されたモデルに、必要な情報がちゃんと入っているか?」——耐火性能、分類コード、数量、外部/内部の別。従来はこうした要求を文章(BEP など)で書き、受け取ったモデルを人の目で確認していました。それを機械が読める形で指定し、自動でチェックできるようにするのが **IDS(Information Delivery Specification、情報要求仕様)**です。

先に結論
  • IDS は「モデルにどんな情報が必要か」を機械可読で書いた仕様(buildingSMART の標準)。
  • 各仕様は「適用対象(どの要素に効くか)」+「要求(何を持つべきか)」で構成される。
  • IDS があれば、モデルが要求を満たすかを自動でチェックできる。文章の要求を目視確認する手間が消える。

IDS とは

IDS は、buildingSMART が定める情報要求のためのオープンな仕様です。要点は「人間の言葉ではなく、ツールが解釈できる形で情報要求を書く」こと。たとえば「すべての外壁は耐火性能(FireRating)を持たねばならない」という要求を、機械可読に記述します。

すると、IDS とモデル(IFC)をツールに渡すだけで、「どの要素が要求を満たし、どれが満たさないか」を自動で判定できます。要求と検証が同じ 1 つの仕様に基づくので、「言った/言わない」「基準が人によって違う」といったブレがなくなります。

IDS 情報要求(機械可読) IFC モデル チェックツール 要求 vs モデル ✓ 満たす要素 ✗ 不足のある要素
IDS(情報要求)+ IFC(モデル)→ ツールが自動で合否を判定。要求と検証が同じ仕様に基づく

IDS の構成 — 「適用対象」と「要求」

IDS はいくつかの**仕様(specification)**の集まりで、各仕様は 2 つの部分からできています。

どれに効くか

適用対象(applicability)

  • 対象を絞り込む条件
  • 例: 種別が「壁」/ 分類が「外壁」
  • この条件に当たる要素だけを検査
何を持つべきか

要求(requirements)

  • 対象が満たすべき条件
  • 例: 耐火性能を持つ / 分類コードが付く
  • 満たさなければ「不適合」

つまり「〈外壁〉は〈耐火性能〉を持たねばならない」のように、対象と要求をセットで書きます。要求として指定できるのは、プロパティ(Pset)分類・材料・属性・部分-全体の関係など、モデルに含めるべき情報の種類です。

なぜ IDS か — 文章の要求から機械可読へ

これまで情報要求は、BEP(BIM 実行計画)や EIR(発注者情報要求)といった文書に文章で書かれてきました。文書は人が読む前提なので、①解釈がぶれる ②手作業でしか確認できない ③抜けに気づきにくい、という弱点があります。

従来: 文章で要求

「外壁には耐火性能を記載すること」——読み手によって解釈が分かれ、確認は目視。

IDS: 機械可読で要求

同じ要求を、ツールが判定できる形で記述。曖昧さがない。

自動で照合

モデルを渡すだけで、要求を満たすか一括判定。抜けが可視化される。

IDS の狙いは、要求そのものを実行可能にすることです。要求を書いた時点で、それがそのまま検査ルールになる。人の目視に頼らないぶん、大規模なモデルでも漏れなく・素早く・同じ基準で確認できます。

Pset・分類・モデルチェックとの関係

IDS は単独で使うものではなく、これまでの記事で扱った仕組みの上に乗るものです。

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役割分担: 分類・Pset は「情報を入れる」仕組み、IDS は「必要な情報が入っているかを定義・検証する」仕組み。前者が土台、後者が品質保証のルールです。

実務での位置づけ

IDS は比較的新しい標準で、対応ツールも広がりつつある段階です。実務では、発注者や BIM マネージャがプロジェクトの情報要求を IDS として定義し、各社が納品前に自分でモデルを照合する、という使い方が想定されます。これにより、「納品してから情報不足が発覚する」手戻りを前段で防げます。

文書としての BEP/EIR が消えるわけではありません。なぜその情報が要るか・どう使うかは文書で、機械が確認できる部分は IDS で——という役割分担で、要求の伝達と検証を両立させるのが狙いです。

まとめ

「形はあるが情報が足りない」モデルは、下流(数量・検証・維持管理)で必ず詰まります。IDS は、その情報の過不足を要求の時点で実行可能にするアプローチです。全体像はIFC とはにまとめています。

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