「IFC と RVT、どっちでもらえばいいの?」——BIM のデータ受け渡しで必ず出てくる疑問です。結論から言うと、両者は競合する形式ではなく、役割が違います。この記事でその違いを整理します。
- RVT = Revit のネイティブ形式。情報を完全に保持するが、基本 Revit でしか開けない
- IFC = オープンな交換形式。ソフトを問わず開けるが、変換で一部のニュアンスは落ちる
- 使い分け: 設計を続ける = RVT / 協業・閲覧・長期保存 = IFC
根本的な違い: オープン形式 vs ネイティブ形式
- RVT は Autodesk Revit の ネイティブ(独自)保存形式です。Revit が扱うすべての情報——パラメトリックな関係、ファミリ、編集履歴に近い構造——をそのまま保持します。ただし、基本的に Revit でしか開けません。
- IFC は buildingSMART が定める オープンな交換形式(IFC とは)。特定ソフトに依存せず、どの BIM ツールでも読み書きできることを目的としています。
たとえるなら、RVT は「その人のノートそのもの」、IFC は「誰でも読める清書」です。ノートには書いた本人にしか分からない略記や仕組みが詰まっていますが、清書は誰でも読める代わりに、一部のニュアンスは落ちます。
その人のノート
- Revit 内なら情報の欠落なし
- パラメトリック編集・ファミリをフル活用
- 基本 Revit でしか開けない
- バージョン互換に制約、長期保存に不向き
誰でも読める清書
- ソフトを問わず開ける
- 他社・他職種との協業に最適
- ISO 標準で長期保存に強い
- 独自機能・編集性は一部失われる
RVT の長所と限界
長所: Revit 内で完結する限り、情報の欠落がありません。パラメトリックな編集、ファミリの差し替え、設計の継続がフルにできます。
限界: Revit を持っていない相手には渡せません。バージョン間の互換性にも制約があり(新しい Revit で保存した RVT は古い Revit で開けない)、長期保存やベンダー非依存のアーカイブには向きません。
IFC の長所と限界
長所: ソフトを問わず開ける。発注者・施工者・専門業者が別々のツールを使っていても受け渡せる。国際標準(ISO 16739)なので長期保存にも適し、特定企業の製品が終わっても読めます。
限界: 変換は完璧ではありません。Revit 固有の機能やパラメトリックな編集情報は、IFC に書き出すと”焼き付けられた”結果(確定した形状と属性)になります。再び Revit に戻しても、元のパラメトリックな編集性は基本的に戻りません。
どちらで受け渡すべきか
判断の軸はシンプルです。
- 相手も Revit で、設計を継続編集してほしい → RVT(または Revit 同士のワークシェアリング)。
- 閲覧・調整・チェック・他社との協業・長期保存 → IFC。
実務では「設計の主担当チーム内は RVT、外部とのやり取りや成果物の納品は IFC」という使い分けが一般的です。openBIM の考え方では、特定ベンダーへの依存を避けるため、組織をまたぐ受け渡しは IFC が推奨されます。
受け渡しで失敗しないコツ
- 目的を先に決める: 「見るだけ」か「編集を続ける」かで形式が決まります。
- IFC ならエクスポート設定を確認: 含める属性・対象要素・IFC バージョン(IFC2x3 か IFC4 か)で結果が大きく変わります。
- 受領側で開いて検収: 属性が空でないか、要素が欠けていないかを、渡された側が必ず確認する。IFC ビューアで中身を点検する習慣が事故を防ぎます。
- 「IFC で戻せば Revit に完全復元できる」とは考えない: ラウンドトリップ(往復変換)には限界があります。
まとめ
RVT は Revit の中で力を発揮するネイティブ形式、IFC はソフトを越えて協業・保存するためのオープン形式。優劣ではなく 使い分けです。組織やソフトをまたぐ場面では IFC、Revit 内で設計を続ける場面では RVT、と覚えておけば、データ受け渡しの判断で迷うことは少なくなります。